近年、太陽光発電が一般化したことで、電力の供給源が多様化してきました。ただクリーンエネルギーが利用可能になった反面、新たな電力需給問題も浮かび上がってきます。アメリカ・カルフォルニア州では太陽光発電の大量導入に伴う「ダックカーブ現象」が課題視されています。
今回はダックカーブ現象とは何なのか、現段階で考えられる解決策について解説していきます。

ダックカーブ現象とはどんな現象か?

「ダックカーブ現象」とは、分散型太陽光発電システムを多く導入している米カリフォルニア州において、日中は太陽光発電で電力消費を賄うため実質電力需要が少なくなり、電力需要のピークを迎える17時以降に実質電力需要が急増する現象です。

実質電力需要が“アヒル型”に変化

同州の電力を管理する独立系統運用機関(California Independent System Operator)のレポートで示された、2013年から2020年(予測)の1日の実質電力需要の推移を表すグラフが、アヒルのような形を描くことから「ダックカーブ」と呼ばれるようになりました。

2013年の実質電力需要を示したグラフでは、0時以降から16時までは比較的なだらかな線を描き、同州で電力消費が増える17,18時を迎えると上昇系を描いていました。
ところが分散型太陽光発電の導入を進めた2015年のデータでは、8時から17時までの需要が大きく減少、夜になると急上昇する極端なグラフが確認されたのです。
2020年には、日中の谷型がさらに深まるだろうとの予想が示されました。

出典:California Independent System Operator

ダックカーブ現象がもたらす課題

ダックカーブ現象は次の2点において課題視されています。

日中に供給過剰の恐れ

太陽光発電の増加により、8時〜16時ごろは電力会社から購入する電力(実質電力需要)が大きく下がります。
電力は需要と供給を常に一致させておく必要があり(同時同量)、実質需要が大きく下がることで、電力会社が供給する電力が過剰となる恐れがあります。
継続して昼夜問わず発電する「ベースロード電源」の出力を減らすなどの調整が必要となってくることも考えられます。

夕方に供給不足になる恐れ

カルフォルニア州で電力需要が増える17時以降には太陽光発電による電力が見込めないことから、実質電力需要が急増します。
2020年には2時間で13.5GWの調整が必要と予測されており、供給不足となる恐れがあります。
実質需要の急増に追いつくため、出力調整のしやすい火力発電設備などを待機させておく、などの対応が必要となります。

出典:California Independent System Operator

ダックカーブ現象の解消に向けた策いろいろ

太陽光発電と蓄電池の併用
昼間に蓄電し夕方以降に放電するなど、太陽光発電の出力変動を抑制します。
デマンドレスポンス
需要のピーク時にデマンドレスポンス(電気の供給量に合わせて需要家が電気の消費を抑制すること)を行うことでピークカットを狙います。
電力料金制度
デマンドレスポンスと逆に、「昼間割引」で太陽光発電のピーク時に電気が安くなるような電力プランを設定することで消費者が昼間に電気を使うよう促します。
電気温水器や氷蓄熱空調システムなどによる熱利用
電気温水器や氷蓄熱空調システムなど電力を使う設備を昼間稼働させることにより、電力需要を日中にシフトします。

これまで利用されてきたエネルギー技術と新たなエネルギー技術を安定的に併用するためには、さらにもう一歩新しい技術やシステムを導入する必要があるようです。ダックカーブ現象は、自然エネルギーを効率よく利用するための課題を示しています。