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平成27年度「新エネ大賞表彰式」が、今年1月27日に東京ビッグサイトにて開催されました。 今年度の「新エネ大賞」も、昨年5月に募集を開始し、数多くの企業・団体等から応募案件がありました。
厳正な審査の結果、最終的に『経済産業大臣賞1件』、『資源エネルギー庁長官賞1件』、『新エネルギー財団会長賞5件』、『審査委員長特別賞1件』の合計8件が入選しています。そこで、今回は「新エネルギー」とは何を指し、「新エネ大賞」とは、どのような賞なのかみていきましょう。

「新エネルギー」、「新エネ大賞」とは?

「新エネルギー」とは、日本でつくられた言葉で、化石燃料以外のエネルギーを指します。具体的には、太陽の光と熱や風力といった自然エネルギー、水力、地熱という伝統的なエネルギー、廃棄物やバイオマスを活用したエネルギー、さらにコージェネレーションや燃料電池のようなエネルギーの新しい利用方法のことも指します。これらの新エネルギーの多くは、海外に依存しない国産のエネルギーであり、また環境への負荷も小さいという利点があります。

また、「新エネ大賞」とは、一般財団法人新エネルギー財団が、経済産業省及び資源エネルギー庁の委託を受けて実施しているもので、新エネルギーの一層の導入促進と普及、啓発を図るために、新エネルギーに関わる商品及び活動を広く募集し、そのうち優れたものを表彰するコンテストを指します。初回は平成8年度から始められ、今年で19回目を迎えました。では、今年度の「新エネ大賞」は、どんな事業やプロジェクトが受賞をしたのでしょうか。

【経済産業大臣賞】燃料電池自動車 「MIRAI」 の新トヨタフューエルセルシステム(TFCS)

経済産業大臣賞は、新トヨタフューエルセルシステム(TFCS)が獲得しました。

トヨタフューエルセルシステム(TFCS)の概要(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

トヨタフューエルセルシステム(TFCS)の概要(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

このシステムは、従来のガソリンなど化石燃料にかわり、新たに将来有望なエネルギーである水素を燃料とし、クリーンかつ高効率で発電する燃料電池(FCスタック)を動力源とした燃料電池システムです。普及に向け、高性能・小型化、低コスト・量産化を図り、セダンタイプの燃料電池自動車「MIRAI」に搭載し、世界に先駆けて市販化しました。

究極のエコカー FCV「MIRAI」の特徴(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

究極のエコカー FCV「MIRAI」の特徴(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

燃料電池自動車(FCV)は、走行中に排出されるのは水だけで、大気汚染やCO2による地球温暖化など環境問題に対応することができます。
また、燃料である水素は、多様な一次エネルギーや再生可能エネルギー(太陽光、風力など)から製造可能であるため、資源のない日本において、エネルギーセキュリティーの観点から、将来の水素社会の一翼を担う、究極のエコカーであると評価されました。

FCV「MIRAI」は、エコだけでなく、全域モーター駆動によるEV走行であることから、静かで加速が良く、走る楽しさを実感できることも利点です。また、利便性においては従来のガソリン車と比べても遜色なく、電気自動車より優れています。更に、災害時の非常用電源としても活用でき、最大9kWの給電が可能で、最大60kWh程度(EVの数倍)の電力量を有し、長時間の供給も可能です。受賞の一因としては、多くの特許に関する実施権を無償で提供したことにより、今後の水素社会や燃料電池産業を牽引していることが高く評価されたといえます。

【資源エネルギー庁長官賞】南相馬ソーラー・アグリパークでの体験学習による子どもたちへの新エネ啓発活動

資源エネルギー庁長官賞には、一般社団法人福島復興ソーラ―・アグリ体験交流の会が受賞。

南相馬ソーラー・アグリパークは津波で被災した敷地に太陽光発電所(500kW)と 植物工場を設置し、新エネルギーをテーマとした子供たちのための体験学習の拠点です。ここを舞台に、小中学校の総合学習と連携した体験学習などを行い、子どもたちに対して新エネルギーについての啓発活動を継続し行いました。平成25年4月のオープンから2年半の間に、南相馬市内の小中学生3500名のうち2100名以上の子どもたちが半日の体験学習を実施し、自治体や大学とも連携ながら一般市民向けの普及活動も含めて幅広く展開されており、新エネルギー普及促進の持続性のあるモデルとして高く評価されました。

【新エネルギー財団会長賞】十勝“夢”プロジェクト真冬のマンゴーづくり大作戦、他

新エネルギー財団会長賞は、株式会社ノラワークスジャパンの「逆転の発想で真冬にマンゴー栽培づくり」のプロジェクト、他4件が受賞しました。そのうちのひとつ、「逆転の発想で真冬にマンゴー栽培づくり」のプロジェクトをみてみましょう。

この事業は、冬期は酷寒となる北海道十勝地域で、化石燃料を全く使用せず、温泉熱、雪氷冷熱及びバイオディーゼル燃料(廃食油や菜種など植物油を精製してつくる燃料)を活用し、冬期間に『白銀の太陽』という名の亜熱帯果実マンゴーのビニールハウス栽培を展開するというもの。
この事業の重要ポイントは、土中に巡らせたパイプにより、花芽分化の管理期(6〜7月)は保存した雪によって植物が冬と勘違いする温度まで土を冷やし、逆に冬期は収穫期に合わせ温泉熱によって“植物が夏と勘違い”する温度まで土を温めるという、年間を通じ事業者が地中の温度を管理するという点です。

逆転の発想で真冬にマンゴー栽培の図〈左〉、施設全景(夏期)〈右〉(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

逆転の発想で真冬にマンゴー栽培の図〈左〉、施設全景(夏期)〈右〉(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

この技術によって、首都圏の百貨店等へ亜熱帯果実であるマンゴーをクリスマス・正月シーズンの時期に合せて出荷するなどの季節のコントロールが可能となり、市場での希少性を高め、農産品の高付加価値化につなげることができました。この『白銀の太陽』——。贈答用は1個5万円の高値で見事に完売したといいます。さらにマンゴー以外の高付加価値果樹への応用もできるといわれており、現在、他の生産現場への技術指導やノウハウの共有を進めているそうです。

ANA国際線機内誌(2015.01)にて地方から世界に発信(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

ANA国際線機内誌(2015.01)にて地方から世界に発信(一般財団法人 新エネルギー財団より出典)

参考:
平成27年度 「新エネ大賞」受賞一覧 | 一般財団法人 新エネルギー財団