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平成28年度の予算概算要求では、「農山漁村再生可能エネルギー地産地消型構想支援事業」として6,000万円があがっています。
これは農林漁業のコスト削減や農山漁村のイメージアップ等を図ることで、地域を活性化させるため、「再生可能エネルギーの地産地消」の導入までに必要となるさまざまな取組や手続について支援するものです。

制度の内容

対象:

  • 地域の資源に精通した農林漁業者
  • 地域を結びつける役割を担う行政
  • 電力事業ノウハウを持った民間団体

で組織される協議会

支援を受けられる内容:

  • 太陽光発電、小水力発電、風力発電、バイオマス発電など再エネ設備の導入の検討
  • エネルギーの需要と供給のバランスを調整できるかの調査
  • 地域主体の電力会社(小売電気事業者)の設立の検討

など、再エネの地産地消を行う構想

上記に対し支援されるものです。

なぜ農水省が農林漁業者の電力小売参入を補助するのか?

農業、林業、漁業が盛んな地域では、土地や水、風、バイオマス(木くずや家畜排せつ物など)が豊富にあり、再生可能エネルギーに必要な資源が揃っています。

ここ数年、農林漁村において豊富な土地を活用した大規模な太陽光発電設備が多数建設されましたが、土地を購入または借り受けた大都市圏の大手民間企業による事業で、地元企業への発注や雇用の創出を生まないケースがほとんどでした。

豊富な資源を活かして自然エネルギーの地産地消を行うことで、「エネルギーは地域外から買って、地域外にお金を払う」という従来の仕組みから、「地域内でお金を循環させたり、エネルギーを地域外に売ってお金をもらう」という仕組みに転換し、農林漁業の発展とも調和しながら、再生可能エネルギーが広まることが期待されているのです。

出典:農山漁村における再生可能エネルギー発電をめぐる情勢(農林水産省)

出典:農山漁村における再生可能エネルギー発電をめぐる情勢(農林水産省)

しかし実現するためには「地域への利益還元」「土地などの利用調整」「地域の合意形成や気運の醸成」など課題は多数あり、様々な立場の人の参加が必要で、時間や手間(すなわちお金)もかかることから、非常に高いハードルであることが分かります。

こうしたことを支援するための補助制度が「農山漁村再生可能エネルギー地産地消型構想支援事業」と言えます。

例えばどんなメリットが?

再エネの地産地消を行うことにより、地域にどのようなメリットが生まれるのでしょうか。

コストの削減

例)ビニールハウスや農産物の加工場等で、地元産の再エネの電気や熱を利用することで光熱費を削減する。

余剰電力の売電収入を活用した整備や改善

例)

  • 余った電力を売った利益で、新商品開発や加工施設の整備など6次産業化の取り組み。
  • 育苗設備や貯木場、直売場など、農林漁業関連設備の整備。
  • 集落の維持管理

などに売電収入を活用できる。

経済的な効果だけではなく、再エネを利用していることで「エコ商品」として特産物のブランド化や、地域のイメージアップなどの活性化も期待されています。

事業実施の公募について

「農山漁村再生可能エネルギー地産地消型構想支援事業」の公募については、決まり次第発表されるものと思います。
公募についてご興味のある方は農林水産省の情報をご確認ください。

参考:
農山漁村活性化再生可能エネルギー導入等促進対策|農林水産省

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