地熱発電

世界有数の「火山国」である日本の地熱資源は、世界第3位という高い規模を有しています。日本の地熱発電技術は世界トップレベルにありますが、国内における地熱資源の発電への利用はわずか2%に過ぎません。今回は、日本で地熱発電が進まない要因と、地熱発電のこれからを紹介します。

地熱発電が進まない要因

日本の地熱資源は、アメリカ、インドネシアに次いで、世界3位のポテンシャルエネルギーを持っています。以前から有望視されていた日本の地熱発電ですが、広く定着することはありませんでした。その要因は、次の3点が考えられます。

 新規参入を阻む電力業界の体制
日本の電力業界は、地域ごとの電力会社に独占されているため、他分野からの新規参入が困難でした。
 国の開発支援が消極的であった
原子力発電や火力発電に比べて小規模のため、国は地熱発電への開発に消極的であり、開発予算も少額でした。
 適地のほとんどが国立・国定公園内
「自然公園法」によって、自然公園(国立公園や国定公園)の中に地熱発電所を建設することは困難でした。また、温泉への影響が懸念されるため、温泉地域との調整が必要です。

見直されはじめた地熱発電

地熱発電は、3.11の原発事故を契機に「再生可能エネルギー」利用の一貫として見直されました。

地熱発電の特徴と利点

地熱発電は、再生可能エネルギーのなかでもいくつかの特筆する利点があります。

 安定したベースロード電源
地熱発電は季節や天候に左右されることなく、24時間365日の安定した稼働が可能です。設備利用率は、太陽光発電が約12%であるのに対して、地熱発電は約80%という高さを誇ります(内閣府、コスト等検証委員会報告書)。
 地球環境に優しい
発電時のCO2排出量がほぼゼロであり、環境適合性に優れています。
 発電コストが低い
地熱発電は燃料を必要としないため、ランニングコストを低く抑えられます。太陽光発電は30.1~45.8円/kWh、地熱発電は9.2~11.6円/kWh(内閣府、コスト等検証委員会による試算)。
 世界最先端の地熱発電技術
ニュージーランドは、ほとんどの電力を水力発電と地熱発電でまかなっています。景観にも配慮された地熱発電所は、すべて日本の技術によって地下または半地下に建設されています。このことからも、日本の地熱発電技術は世界トップレベルといえるでしょう。

地熱発電の開発へ

環境省は、2012年3月に「国立・国定公園内における地熱開発の取り扱い」によって規制を一部緩和しました。これにより、地熱発電の開発が加速されました。

日本の地熱発電の開発状況

現在の地熱発電の開発は、国立・国定公園内の8か所において、地熱資源開発調査事業による調査がはじまっています。
大雪山国立公園(上川地域)・支笏洞爺国立公園(洞爺湖温泉地域)・十和田八幡平国立公園(八甲田北西地域)・十和田湖八幡平国立公園(網張地域)・栗駒国定公園(小安地域)(木地山・下の岱地域)・磐梯朝日国立公園(磐梯地域)・阿蘇くじゅう国立公園(平治岳北部地域)

地熱発電の開発へ

効率のよい再生可能エネルギーへの期待や国の規制緩和などから、今後の地熱発電開発は加速することでしょう。そのなかで規制緩和と環境との調和、温泉地域への説明努力が求められています。国立公園での開発と温泉地域との共存が進んだ場合、2050年の地熱発電能力は約1000万kW(最新火力発電の約20基分)となり、電力量では全体の1割を占めるという試算もあります。地熱発電への期待は大きいといえるでしょう。

参考: