太陽光発電の出力制御まとめ

2015年1月26日に再エネ特措法が改正され、太陽光発電の出力制御ルールが変更になりました。
「30日ルール」「360時間ルール」「指定ルール」… もう訳が分からなくなっていませんか?
九州では出力制御の実証事業が進んでいて、早ければ来年の春にも実施されるのでは、という話も聞かれます。
今さら聞けない「出力制御」についてまとめます。

3つの出力制御ルール

出力制御には3つのルールが存在します。
発電設備の接続可能量の空きは、地域によって差があるため、地域と発電設備の容量によって適用されるルールが異なります。

各ルールの説明

360時間ルール

電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る場合、年間360時間を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請できるルール。

指定ルール

国から指定を受けた電力会社が、接続申込みが接続可能量を超えた場合、それ以降に接続を申込んだ接続発電設備を対象に、上限時間なく無補償で出力を抑制するよう要請できるルール。
指定を受けている電力会社:北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力

30日ルール(過去に存在したルール)

電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても電力の供給量が需要量を上回る場合、500kW以上の発電設備に対し、年間30日を上限に、無補償で出力を抑制するよう要請できるルール(〜2015/1/25以前に接続申込の場合)。

容量別・地域別のルール適用内容

10kW未満

東京電力、中部電力、関西電力
出力制御の対象外
北陸電力、中国電力、沖縄電力
平成27年(2015年)4月1日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は出力制御の対象外。
接続可能量を超えた後に接続申込みをした案件からは「指定ルール」を適用。
四国電力
平成27年(2015年)4月1日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は出力制御の対象外。
平成28年(2016年)1月25日以降に接続申込みをした案件からは「指定ルール」を適用。
北海道電力、東北電力、九州電力
平成27年(2015年)4月1日以降に接続申込みをする案件から「指定ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は出力制御の対象外。

10kW〜50kW未満

東京電力、中部電力、関西電力
出力制御の対象外
北陸電力、中国電力
平成27年(2015年)4月1日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は出力制御の対象外。
接続可能量を超えた後に接続申込みをした案件からは「指定ルール」を適用。
沖縄電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は原則出力制御の対象外。
接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件からは「指定ルール」を適用。
四国電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は原則出力制御の対象外。
平成28年(2016年)1月25日以降に接続申込みをした案件からは「指定ルール」を適用。
北海道電力、東北電力、九州電力
接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件から「指定ルール」を適用。

50kW〜500kW未満

東京電力、中部電力、関西電力
平成27年(2015年)4月1日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は出力制御の対象外。
北陸電力、中国電力、沖縄電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は原則出力制御の対象外。
接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件からは「指定ルール」を適用。
四国電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は原則出力制御の対象外。
平成28年(2016年)1月25日以降に接続申込みをした案件からは「指定ルール」を適用。
北海道電力、東北電力、九州電力
接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件から「指定ルール」を適用。

500kW〜

東京電力、中部電力、関西電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は「30日ルール」を適用。
北陸電力、中国電力、沖縄電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は「30日ルール」を適用。
接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件からは「指定ルール」を適用。
四国電力
平成27年(2015年)1月26日以降に接続申込みをする案件から「360時間ルール」を適用。これより前に接続申込みされた案件は原則出力制御の対象外。
平成28年(2016年)1月25日以降に接続申込みをした案件からは「指定ルール」を適用。
北海道電力、東北電力、九州電力
接続可能量超過後に接続申込みをしたと認められる案件から「指定ルール」を適用。
容量別・地域別のルール適用内容

出典:資源エネルギー庁「固定価格買取制度の運用見直し等について」

追記:
平成28年(2016年)1月22日に、四国電力の太陽光発電設備の接続済みおよび契約申込み済みの設備量が接続可能量(30日等出力制御枠)に達したため、平成28年(2016年)1月25日以降に接続申込みをした案件からは「指定ルール」が適用されます。
参考:太陽光発電設備の30日等出力制御枠への到達について | 四国電力

出力制御対応機器の設置が義務化

出力制御が実際に行われる際には、電力会社から出力制御スケジュールを取得し、パワーコンディショナー(以下PCS)の出力を調整する機器=「出力制御対応機器」が必要となります。
2015年4月1日以降に電力会社に接続申込が受領された案件のうち、地域・設備容量によっては、今後出力制御に対応可能な機器の設置が義務づけられました。

出力制御対応機器の設置が義務づけられている案件

「北海道」「東北」「北陸」「中国」「四国」「九州」「沖縄」の7区域

10kW未満の設備も含めて全ての発電設備において、出力制御対応機器の設置が必要です。

「東京」「中部」「関西」の3区域

50kW以上の発電設備において、出力制御対応機器の設置が必要です。

2015年10月現在は、出力制御の運用の詳細がまだ発表されていないこともあり、「今後、電力会社が設定する期日までに、出力制御を行うために必要な機器を設置するか、既に設置した機器を出力制御対応に改造またはアップグレードすること」を条件に、接続の承諾が行われているところがほとんどです。

九州電力では、系統接続の申し込みをする際に『出力制御機能付PCSの導入について(納入〔販売〕予定確認書)』の提出が求められ、出力制御開始時期までに出力制御対応機器の導入準備を進める前提で系統接続を申し込むことになります。

参考:回答再開に伴う取扱い等について(九州電力)

出力制御はどのように行われるのか

想定される出力制御システムの概要

2015年10月現在、出力制御の運用についての詳細は発表されていませんが、太陽光発電協会・日本電機工業会・電気事業連合会の発表している資料から、以下のように運用されることが想定されます。

  1. 電力会社にて気象情報などから電力の需給想定を行い、出力制御スケジュールを設定
  2. 前日までに発電事業者に制御予告
  3. 発電設備のパワーコンディショナーにて、インターネット等にて電力会社より出力制御スケジュール(出力制御日・時間・制御量の設定)を取得
  4. 発電設備のパワーコンディショナーが、スケジュールに則り出力を調整
出力制御スケジュール例

出典:太陽光発電協会 日本電機工業会 電気事業連合会「出力制御機能付PCSの技術仕様について」

出力制御対応機器とは?

PCS(狭義)

従来のPCSの機能に加え、「出力制御ユニット」から出力制御情報を受けて、太陽光発電の出力(上限値)を制御する機能を持つPCSです。
すでに各PCSメーカーより「出力制御対応PCS」が発売されており、出力制御対応機器の設置が義務づけられる発電設備では、こうした出力制御対応PCSを導入する必要があります。

出力制御ユニット

電力会社のサーバから出力制御スケジュールを取得し、出力制御スケジュールに基づいて、「PCS(狭義)」 を制御する機能をもつ制御装置と定義されています。
PCS(狭義)だけでは電力会社からの出力スケジュールを取得したり、スケジュールに則って出力を調整することは出来ず、この部分の機能を担う機器が必要となります。

PCS(広義)

上記の「PCS(狭義)」「出力制御ユニット」を合わせて「PCS(広義) 出力制御機能付PCS」として定義されており、この設置が義務づけられます。

出力制御機能付きPCSシステムの構成

出典:太陽光発電協会 日本電機工業会 電気事業連合会「出力制御機能付PCSの技術仕様について」

出力制御対応機器はいくらぐらい?

出力制御対応機器の設置にかかる費用は、発電事業者が負担しなくてはなりません。
どれくらいの費用がかかるものなのでしょうか。

太陽光発電協会によると、

  • 10〜50kW未満の設備の場合
  • 出力制御対応済みPCSを導入
  • 通信機能付き制御ユニットを導入
  • 通信費用

の条件で、1kWあたり1.7万円と試算されています。(経済産業省|調達価格等算定委員会(第18回)資料より)

内訳は以下の通りです。

  • 通信機能付き新制御ユニットが0.5万円/kW
  • 通信費用(買取期間中合計)が1.2万円/kW

仮に50kWの設備ですと1.7万円×50kW=85万円となり、これが目安となるのではないでしょうか。

通信機能(インターネット回線など)は必要か?

電力会社のサーバから出力制御スケジュールを取得するには、インターネット回線などの外部通信機能が重要となります。

発電設備に通信モデムを備え、外部との通信機能を持っている出力制御対応機器の場合、電力会社のサーバ上に掲載される「出力制御スケジュール」を自動的に取得し、スケジュールに乗っ取ってPCS(狭義)の出力を制御します。

外部通信機能がない場合は、発電事業者にて固定スケジュールを手動で取得(年に1回以上)し、出力制御ユニットに保存、それに則りPCS(狭義)を制御することになります。

外部通信機能がある場合は、直近の気象情報などを鑑みて、30分単位、定格出力制御値1%単位のきめ細かな制御スケジュールが配信されると想定されるため、出力制御による発電機会の損失を最小限に抑えることが可能になります。
これに対し、外部通信機能がない場合は、年間の固定スケジュールをもとに制御することになりますので、例年の電力受給状況から需要が少なく発電の多い時期(ゴールデンウィークなど)に大まかな日時(◯月◯日〜◯月◯日等)を指定したスケジュールとなると想定され、外部通信機能がある出力制御対応機器と比較すると、発電機会の損失が多くなると見込まれます。

太陽光発電協会などによる資料『出力制御機能付PCSの技術仕様について』によると、通信回線を開設することが物理的に現実的では無い場所(山間地に立地する発電設備等)のみ、固定スケジュールを手動で設定する方向で検討されており、基本的に外部通信機能を備えるものと考えていてよいでしょう。

いつから出力制御がはじまるのか?

現在九州電力にて出力制御システムの実用化に向けた実証事業が、2015年6月5日から2016年2月29日までの予定で行われています。
この実証事業は、PCSメーカーなどが参加し、出力制御機能付PCSシステムを実際の発電設備に設置して行っています。
2016年度には出力制御の運用が始まると想定されます。
太陽光発電が最も発電し、大型連休で需要が減少するゴールデンウィークに実施されることも考えられますので、今のうちから出力制御対応機器について検討を進めておくのがよいのではないでしょうか。