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夏休みを利用し、アイスランドへ行ってきました。
荒涼とした大地から湯気がモクモクと上がっている景色が各地で見られ、まるで別の星に来たかのような雰囲気を味わえました。

アイスランドは、2010年に起こったエイヤフィヤトラヨークトルの噴火で多くの航空便が欠航を余儀なくされ、一気にその火山パワーを世界に知らしめましたが、その豊富な地熱資源を活かした地熱発電が盛んです。

なぜアイスランドは火山が多いのか?

アイスランドの地熱発電の前に、なぜアイスランドで火山が多く、地熱資源が豊富なのか?という点について触れておきます。
アイスランドは大西洋中央海嶺の上に位置しています。中央海嶺とは海の底にある海底山脈で、新しいプレート(地球表面を覆う岩盤)が生まれる場所です。ここで生まれたプレートは、マントルに沿って両側へ移動し、やがて海溝へ沈み込んでいきます。
アイスランドは「北アメリカプレート」「ユーラシアプレート」が生まれ、東西に離れていく場所に位置しているのです。
そして離れていった「北アメリカプレート」「ユーラシアプレート」は、日本あたりで沈み込んでいくことになります。
アイスランドも日本も火山が多いですが、こうしたプレートの境界にあたるところは火山が多いのです。

主要なプレートの位置図:Wikipedeia「プレート」記事より編集

主要なプレートの位置図:Wikipedeia「プレート」記事より編集

アイスランドの電力

1973年の石油危機をきっかけにアイスランドにおける地熱開発が本格化しました。現在では電力の約3割を地熱発電でまかなっています。
残りの約7割は水力発電で、ほぼ100%自然エネルギーによる電力を実現しています。火力発電所も原子力発電所もありません。

発電コストが安く、安定した電力が時間・季節を問わず得られるということで、電気料金は世界的に見てとても安いとのこと。
その競争力を活かし、大量の電力を必要とするアルミニウムの精錬産業が盛んです。アルミニウムの原料を輸入し、精錬した製品はほとんど輸出されるとのことで、ある意味電力を輸出していると言えるでしょう。
それ以外にも、電気代の安さと気温の低さを売りに、データセンターの誘致も盛んで、誰もが知る有名企業のサーバがたくさんアイスランドにあるそうです。

ヘトリスヘイジ発電所

ヘトリスヘイジ発電所(アイスランド語でHellisheiðarvirkjun)はアイスランド南西部にあるヘインギットル(Hengill)に位置する、アイスランド最大の地熱発電所。

ヘインギットルは現在も活動している火山ですが、過去2,000年ほど噴火は起こっていないそうです。標高は約800m、周囲には温泉や噴気孔が多数見られ、地熱の活用が盛んなところです。11km離れたところにはネーシャヴェトリル発電所があり、近くのクヴェラゲルジという村は豊富な地熱資源を活かした温室農業が盛んです。

走る車内からヘトリスヘイジ発電所を。もうもうと水蒸気が上がっています。
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ヘトリスヘイジ発電所はとてもきれいな建物です。
展示物も整っており、ガイドツアーやインタラクティブ展示も充実。
2008年、金融危機に陥ったことを機に、地熱資源活用と観光産業に力を入れるよう舵を切りましたが、それを体現している設備ですね。
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ガイドツアーのようす。これはこの発電所でできた熱水をレイキャビクまで運ぶパイプの説明をしているところ。優れた断熱性能で、27km先のレイキャビクまで送っても、2℃しか下がらないそうです。
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三菱製のタービン。ほかに東芝製もあるそうで、日本の技術がアイスランドの地熱発電を支えています。
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図示をメインにきれいな展示パネルが並びます。他にインタラクティブな展示も。
写真に撮りそこねましたが、地熱について説明するシアター形式の展示もありました。
こちらは通常英語版やアイスランド語版が流れていますが、お願いすれば日本語版のビデオも鑑賞できます。
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また、先日「二酸化炭素を石に変える技術、アイスランドの地熱発電所が開発」というニュースがありましたが、舞台はこちらのヘトリスヘイジ発電所。
ヘトリスヘイジ発電所で排出されるCO2を、硫化水素と共に水に混ぜ、地中の玄武岩層に注入すると、数ヶ月で鉱物に変化したというもの。
二酸化炭素を安定した形で地中に貯留する方法として注目を集めています。
地熱発電のCO2の排出量は、火力発電のそれと比較して5%程度ととても少ないですが、さらに排出量を減らす試みが行われているということで、温暖化対策へ力を入れていることが見て取れます。

地熱発電だけでなく、もちろん温泉も

アイスランドへ旅行する人が一度は必ず訪れるであろうメジャーなスポットに、世界最大の露天温泉「ブルーラグーン」があります。人気がありすぎて混雑がすぎるため、拡張工事が行われています。
こちらの施設は、スヴァルスエインギ地熱発電所で出た地下熱水の排水が溜まっていたところを整備し一般公開したもので、いわば地熱発電の副産物。副産物がこんなにも成功しているとはすごいですね。

アイスランドの方々は温水プールが大好きなようで、町、村に1つは温水プールがあります。
ほんとに小さな村にも必ずあり、地元の人が集う小さな温泉プールを巡るのも楽しそうですね。

フルージルという町にあるSecret Lagoonという温泉。

フルージルという町にあるSecret Lagoonという温泉。

温泉のほかにも、暖房や融雪、温室農業、魚の養殖、料理といった様々なところで地熱が活用されています。
日本もアイスランドを上回る世界第3位と豊富な地熱資源がありますが、「日本で地熱発電が進まないのはなぜ?」でもお伝えしたように、なかなか進んでいないのが現状。
一部規制が緩和され、日本の地熱発電も開発が進みつつあり、さらなる活用が進むことに期待します。

参考:
ヘトリスヘイジ発電所公式サイト:Geothermal Exhibition | ON Power
アイスランドの地理 | Wikipedia